コレクター急増中 ファンが夢中になるマンホールカードの仕掛け

山田秀人下水道広報プラットフォーム(GKP)企画運営委員

2016.12.06

マンホールカード
兵庫県神戸市のマンホールカード。王子動物園で人気の動物たちがデザインされている

 今、注目を集めているマンホールカード。2016年4月に第1弾、8月に第2弾が発行され、そして12月1日、第3弾として46自治体46種類が発行される。メディアに取り上げられ、インターネット上でも大きな話題となっており、マンホールカードがきっかけでマンホールファンになったという人も多い。その制作者の一人であるGKP(下水道広報プラットフォーム)企画運営委員の山田秀人さんに、マンホールカードが生まれた経緯や、カードに込められた仕掛けについて話を聞いた。

下水道イメージアップのための広報

マンホールカード
GKP(下水道広報プラットフォーム)企画運営委員 山田秀人さん

 山田さんは、マンホールを製造・販売している日之出水道機器株式会社の広報部に属している。日之出水道機器は、日本の下水道用マンホール蓋のトップシェアメーカー。しかし、このことに対して、諸手をあげて喜んでいるわけではない。山田さんたちはこれまでマンホールの魅力を伝えきれていなかったという点で、反省しているという。

山田マンホールカードや、最近のマンホールブームの反響の大きさを見ていると、これだけの反響があるのに何もしてこなかったのは良くなかった、シェアが高い私たちの会社が率先してPRするべきだったと反省しています。

 下水道のイメージアップを図るため、国、自治体、企業などがこれまでバラバラに広報していたものを一括で効率的に広報するために、2012年、GKP(下水道広報プラットフォーム)が組織された。山田さんは、このGKPでも企画運営員として広報活動に携わることになった。

山田下水道ってイメージは良くないですが、私たちの生活にはとても大切なものなんです。もし下水道の全機能が止まってしまったら、衛生的にも大変なことになりますから。

 広報の仕事ではその製品などに対する世間のイメージを知っておく必要がある。下水道はどちらかといえばマイナスなイメージで、広報しようとしても面白くはない。そこで、マンホールに光が当てられた。
 山田さんは今日一番言いたかったことと前置きをしてから言った。「日本のマンホールは、世界に誇れる文化物です」

山田:日本には約1,700の都市があり、都市別にマンホールのデザインが違います。直径約60㎝の円の中に、その土地にゆかりのあるデザインが入っています。本来であれば、機能が保てればいいのですから、デザインは必要ないのです。でも丁寧さ、繊細さを持つ日本人の国民性はそれを許さない。だから今注目されていますし、そのときすでに世界は注目していたのだと思います。人間は、興味を持つものに対しては探求心が生まれます。マンホールに興味を持てば、マンホールの下の世界や役割にも興味を持ってくれます。そして、下水道を楽しく理解してもらうためにと生み出されたのが、マンホールカードでした。

 山田さんは、GKP運営委員カード部門でリーダーを務め、マンホールカードの制作に携わっている。

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