有田の新しい風は、どんな風? 佐賀県有田町 有田まちづくり公社

藤山雷太株式会社有田まちづくり公社取締役

2016.11.08佐賀県

新しい有田、始動

 藤山さんが有田の夜のにぎわいを求める思いは、観光客とも共通しているそうだ。

藤山:電車で観光に来てくださる方に話を聞くと、駅前では夕方5時以降にほとんどお店が閉まっていると残念がられる方が多いです。

dsc_0015登り窯がモチーフの有田駅

 公社では10月1日、有田駅前に観光複合施設「KILN ARITA」をオープンさせた。有田町観光案内所とレンタカーのテナントが入るほか、公社がカフェを運営する。

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KILN ARITA

藤山:終電が夜9時半なので、カフェは将来的には10時までやりたいと思っています。有田は宿泊施設が少ないので、宿泊先に行く前にもう少し長く滞在してもらえればと思います。

「KILN」とは登り窯の意味だ。これまでの有田にはない、斬新で目を惹く建物になった。
 また同じ10月1日からは、今年の「有田まちなかフェスティバル」もスタートした。今年は10月から11月までの2カ月で110のイベントと、昨年の倍以上の規模となっている。すでに多くの人が参加して楽しんでいる。

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プログラムの一つ「バルウォーク® in 本町」の様子

 公社でもいくつかのイベントを手掛けている。その一つが「ARITA ACOUSTIC & JAZZ FESTIVAL 2016」だ。birdやMonday満ちるといった、全国的にも有名なミュージシャンが出演する。あえて110のプログラムのいちばん最初に掲載した。

藤山:有田は焼物のまちと思われがちで、それはそれでいいのですが、音楽にもフィットするまちなんです。

と藤山さんは話す。会場は「炎の博記念堂」の文化ホールだ。

藤山:町の人から、素晴らしい建物なのでもっと有効的に活用してほしいという声があり、企画しました。

 他のプログラムを見ても、「有田まちなか古陶磁オークション」など焼物関連のプログラムもあるが、「有田の自然百選サイクリング」「有田ため池鯉りんピック」など、これまでとは違った有田の魅力を伝えるプログラムもある。有田の多面的な魅力を発信する機会になっている。

有田の文化にも新しい風が

 今後に向けて、まちに「文化」への理解を感じられる有田ならではの活性化策を藤山さんは考えている。アーティスト・イン・レジデンスがその一つだ。これはアーティストが、ある土地に滞在し、作品の制作やリサーチ活動を行うことや、またそれらの活動を支援する制度のことだ。地域にとっても、制作過程におけるアーティストとの交流などによる地域の活性化や、地域の魅力の再発見などのメリットがある。有田では現在、窯元の一つ「幸楽窯」が、従業員の寮だった施設を宿泊施設として提供している。

藤山:有田には職人さんもいるので、職人の手を借りる作品づくりもここでできます。1日100人のアーティストが滞在して、さまざまなモノづくりが生まれる空間を作りたいですね。有田にはそういう空気感や魅力があります。

 明るくて柔らかい。相手との間に壁を作らない。しかし、広い視野と鋭い視点をあわせもつ。彼らは新しい組織としてのパワーだけでなく、キャラクターやたたずまいも含めて、有田の新しい風となっている。だからこそ、短期間で地域との距離を縮め、地域の人とともにさまざまな事業を始められているのだろう。また町も彼らの提案を柔軟に受け入れ、予算化して実現し、そのエネルギーを町の活力にしていこうと考えていることがわかる。こうした環境があるからこそ彼らもその力を発揮できるのだろう。彼らがこれから、地域に根を張りながらも、外の視線を忘れずに有田のまちを変えていく未来がとても楽しみだ。

(取材・文/青木 遥)

リンク:有田まちづくり公社
リンク:有田まちなかフェスティバル

取材対象者プロフィール

藤山雷太

藤山雷太株式会社有田まちづくり公社取締役

佐賀県佐賀市出身。九州大学工学部卒業後、新卒で(株)DeNAに入社し上京する。新規事業コンテストで優勝、部内準MVPを経て独立し、地元佐賀県へUターン。有田焼のECサイトを立ち上げた後、しん窯執行役員に就任し、有田焼販路開拓と異業種のコラボ企画に尽力する。「ロマンシング佐賀」では62cmの大皿を企画制作し、六本木ヒルズにて展示販売を行い、4日間で7,000名が来場する。2015年に(株)有田まちづくり公社を立ち上げ、有田町のふるさと納税を4カ月で約100倍に上げた。また、スターバックスコーヒーJRJP博多ビル店に全長12mの有田焼アートタイルを制作し、独自の切り口で地方の魅力を発信する。最近では、有田駅前に観光案内所・レンタカー・カフェを併設した複合観光施設「KILN ARITA」を2016年10月にオープンさせた。地方のエリア価値を高め、稼ぐまちを作ることに奮闘中。

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