よりよき観光文化の継承にむけて 第1回 ニューツーリズムと従来型観光
ダークツーリズムなんてあり得ない?
津波によってあらゆるものが流されたまち
最近では、ダークツーリズムなどという名称がでてきました。やはりこれも海外での概念を取り入れたもののようで、我が国では東日本大震災が引き金になっていると思われます。以前、広島市における今後の観光振興の基本方針を検討する機会がありましたが、原爆被災地を柱に据えるのか、新たな観光イメージの定着を図っていくのかが議論されました。結果、被災地だからこそ鮮烈に訴えることができる最も大切な平和をうたう観光を進めることとなりました。
東北でも宮古市や三陸鉄道による“学ぶ防災”などの地元ツアーが行われるなど、災害の恐ろしさとその対策の重要性について現状を目の当たりにしながら学ぶ観光が行われています。案内をしている方からお話を聞く機会がありましたが、1年実施してやっと涙無くして語れるようになった、周囲の方の目を多少でも気にすることなく話すことができるようになった、と言われた言葉が印象深く残りました。
こうした地元の方々にとって、地域をダークなところとして位置づけられること自体大いに抵抗があるのではないでしょうか。こうした言葉や旅行の区分形態は、学者や専門家のなかで論じられるにとどめ、一般的には汎用させない方がいいのではないでしょうか。被災地を目の当たりにして、ダークツーリズムの推進などとは口が裂けても言えないと思います。
観光振興は復興への重要な施策の一つ
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