よりよき観光文化の継承にむけて 第1回 ニューツーリズムと従来型観光
ニューツーリズムの推進は、従来型観光事業者との戦い?
屋久島の縄文杉
さらにニューツーリズムの地域側の特徴として、着地型観光という地元主体の旅行形態に依存する形が多いというのも、なかなかツーリズムとしてうまく機能しない原因の一つではないでしょうか。
着地型観光の多くは、いわば観光に関する素人が中核的役割を担っている場合がほとんどです。グリーン・ツーリズムは農家の方々、エコツーリズムは自然保護活動を行っている方々などであり、観光事業というところで融合できにくい。また旅行の性格上、一回ごとや年間として多くの人を受け入れるのが難しく、また少人数を求めることが良いということでもあります。
またエコツーリズムでいえば、特徴的な自然地においてはすでに観光事業者が運営しているところがほとんどであり、新たな旅行形態を持ち込むのが難しい。自然の許容量と事業の採算性などにおいて、既存の観光事業者との間で接点が見いだせないことが多いのです。直近では富士山や屋久島の規制や協力金。世界自然遺産でさえ、自然を守るための常識的な判断すら実施するのが容易ではない。地域や既存観光事業者の多くがその理念やニューツーリズムの常識についていけず、ニューツーリズムからの推進にとって弊害となっているといってよいでしょう。
触れられない縄文杉にがっかりして帰る観光客は多い
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