よりよき観光文化の継承にむけて 第1回   ニューツーリズムと従来型観光

古賀学松蔭大学観光メディア文化学部教授

2014.09.01

ニューツーリズムは、需要不足?

 3.8%
 この数字は、希望する宿泊観光旅行の目的においてグリーン・ツーリズムと答えた人の割合です(公益社団法人日本観光振興協会、24年度観光の実態と志向調査。SA)。

 そろそろオールドになってきたのではないかと思われるニューツーリズム。グリーン・ツーリズムもその一つとしてとらえられています。農林水産省がグリーン・ツーリズムを言い始めたのは平成初め、すでに20年ほどが経っています。また、ニューツーリズムといわれる代表格の一つでもあるエコツーリズムは、1982年の第3回世界国立公園会議を機に、1991年に沖縄におけるエコツーリズム等観光利用推進方策の検討調査などが行われ、徐々にエコツーリズムが台頭しはじめてきました。1992年の屋久島や白神山地の世界遺産登録なども機運を高める後押しとなり、2002年は世界エコツーリズム年でもあり、エコツーリズム推進法へとつながっています。

希望する宿泊観光旅行目的
ニューツーリズムは概して低い

 こうした他省庁の動きから、それらを総称した旅行形態としてニューツーリズムという言葉が生まれ、そして今までどちらかというと観光としては漠然としていたロケ地観光や産業観光などがその仲間に組み込まれ、一つのジャンルを形成してきたようです。

 同調査結果をみると、エコツーリズム8.5%、フィルム・ツーリズム6.2%、ヘルス・ツーリズム1.1%とニューツーリズムといわれている旅行形態は概して低く、ニューツーリズムに対して従来型観光といわれている旅行形態は、温泉観光52.1%、フラワー・ツーリズム29.3%、社寺観光25.6%、食を楽しむ観光24.8%、リゾートライフを楽しむ23.2%と高い値で続いています。この傾向は、毎年同じような結果となっています。

 ニューツーリズムといわれる観光形態は、従来型観光といわれる観光形態に比較すると、量の潜在需要という点では見通しは大いに暗いのでしょうか。

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