長良川おんぱくで流域再生 第3回 まちづくりが観光を磨く
まちが変われば、観光も変えられる
蒲:長良川ブランドという地域ブランドを発信する、観光まちづくりプラットフォームをつくっていきたい。このビジョンがなければ、ただの観光イベント、まちづくりイベントになってしまうのだと思います。
蒲さんはこう話す。長良川おんぱくを支えるのはまさにこの「ビジョン」なのだろう。蒲さんやNPO法人ORGANが、それまでの活動によって確固たる思想や目指す姿を作り上げ、明確に目的を描いたからこそ、いつでもそのビジョンに立ち返ることができる。着地型旅行を売り出す旅行社と違うのは、長良川おんぱくではプログラムの背景にビジョンがあり、その開催の集積で目指す方向へ地域を動かそうとする思いや力を持つ点だ。そこに長良川おんぱくの大きな意義がある。
まちにおんぱくがあることで、「やってみよう」と思う人が増える。「できた!」と自信を持つ人が増える。
プログラムを実施する「パートナー」は、例えば和菓子屋が和菓子教室を開いたり、着物好きな人が着物のレンタルをしたり、自分の本業や好きなことをやろうとする人たちだ。でも、おんぱくのプログラムにすることで、それが地域をつくる大切な要素の一つになる。やりたいことに注ぐエネルギーが、地域を元気にする。
さらに、それぞれ動いていた人たちがおんぱくの研修などでつながると、エネルギーはもっとふくれあがる。ガイドブックのおしゃれなビジュアルや、おんぱくのビジョンと一体になって、地域のブランドイメージをより魅力的にする。
長良川おんぱく参加者は55%が岐阜市、25%が岐阜県内、残りのほとんどが愛知県から来ており、遠方からの参加者はわずかだ。しかし、その開催地である長良川温泉は「にっぽんの温泉百選」に3年連続でランクインし続けている。長良川温泉の宣伝文句として使われることも増えた。たとえ長良川おんぱく自体が地域外からの参加者を呼び込むわけではなくとも、地域資源やまちづくりの主体となる人の地道な掘り起こしやプログラムの実施が、長良川流域のブランドイメージを上げ、観光振興にもつながっているのだ。
今年から強く打ち出している、長良川の恵みを楽しみながら上流に恩返しをするという考え方が多くの共感を呼べば、よりよいイメージで長良川ブランドを発信できるだろう。自立した主体がつながったプラットフォーム(基本的な環境)を形成できれば、そのブランドイメージをより強く発信できるはずだ。
さらなる進化の余地をもつ「長良川おんぱく」。全国に広がる「オンパク」をリードして、新たな仕組みをつくりだすのが楽しみだ。
(取材・文/青木 遥)
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長良川おんぱくで流域再生 第2回 まちづくりのプラットフォームをつくり、長良川ブランドを構築・発信するへ
長良川おんぱく2014
参加申し込み受付中!
■期間 10月11日(土) ― 11月29日(土)
■主催 長良川温泉泊覧会実行委員会
◇オープニングイベント 長良川鮎まつり
長良川の自慢の天然鮎で、ギネス世界記録TMに挑戦!
10月11日(土)10:00~13:00 長良川うかいミュージアム(岐阜市長良川畔)
1組1,000円 天然鮎3尾付き
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