長良川おんぱくで流域再生 第3回 まちづくりが観光を磨く
DMOで地域をプロモーション
DMO(Destination Management / Marketing Organization)は、観光地(地域・観光資源)のマーケティングとプロモーション(ブランディング)を担う組織のことだ。観光集客をはじめ、資源管理やサービスの品質(安全)管理、観光戦略の立案や事業計画のマネジメント機能を有し、自律的に運営される。観光地域づくりプラットフォームと呼ばれることもある。
蒲:僕らのような民間の中間支援組織がどう生き残っていくか考えると、おんぱくや他の事業を受託するだけでは絶対無理で、行政の出資も含めて事業的にDMOをつくっていかないと、と思っています。DMOのミッションは、地域の資源を発掘し、地域ブランディングを行い、エージェントの受け皿となることなので、公益的な視点も必要。必ずしも大きな利益を目指すわけではないですが、一方で行政の動きと結びついた補助金などが多すぎると自由に活動できないこともあるので、自主事業として実施していけるだけの収入が必要です。
現在は行政と連携しながらDMOとしての役割を試行している。長良川おんぱくは行政と民間の団体がつながる場でもある。
蒲:長良川おんぱくの実行委員会には、岐阜県や岐阜市、長良川温泉組合などのほか、流域の自治体も今年度からオブザーバーとして参加しはじめました。こうした組織が、長良川ブランドを構築する主体づくりの足掛かりになると思っています。
このような民間のまちづくり主体と行政とのつながり、行政同士のつながりはこれまでなかったものだ。
今年のプログラム「鵜匠家直伝 絶品鮎のなれ鮨手作り体験と天然鮎料理」
他にも流域が連動する動きが出てきた。「清流の国ぎふ」をうたう岐阜県が、「清流長良川の鮎」の「世界農業遺産」への認定を目指し、流域の市町村などとともに「清流長良川の農林水産業推進協議会」を立ち上げたのだ。
蒲:長良川流域のエコシステムを打ち出しているところに共感します。この協議会が、長良川の恵みを享受して発信していく、長良川ブランドの主体として活用できる可能性もあります。
協議会の設立総会には蒲さんも参加した。ぎふグリーン・ツーリズム戦略会議の座長や、岐阜都市ブランド戦略会議の委員も務め、地域ブランドの構築に携わる。
蒲:岐阜市のブランディングにおいては、基層文化としてこの地を育んで来た長良川を中核に据える以外にないと思うのですが、正直なところ、市全体の合意にはまだ至っていません。これからも主張を続けなくてはいけませんが、少なくともそういう立場で、地域内で動けるようになっています。
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