長良川おんぱくで流域再生 第3回 まちづくりが観光を磨く

2014.10.01岐阜県

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おんぱくの舞台である長良川

 地域に根を張り、少しずつまちを変えている長良川おんぱく。そうした成果を導いたのは、「さまざまな主体の連携やつながりをつくることで、まちづくりの「プラットフォーム」をつくる」「『長良川ブランド』を構築・発信し、まちのアイデンティティを共有する」という二つの目的を強く意識しながら活動が続けられてきたからだ。今回も引き続き、長良川おんぱくプロデューサーの蒲勇介さんに話を伺う。

蒲:どちらかといえばまちづくりを起点に始まった僕たちの活動ですが、このように地域に眠る資源を発掘し磨き上げ、相互に活用していくしくみは、本質的な観光振興のためのベースになると思います。

 そう話す蒲さん。実際に、長良川おんぱくを起点に、観光振興につながる動きも生まれてきている。

長良川おんぱくプログラムから観光商品へ

長良川おんぱく2013プログラム「写真家・澤田尚正と岐阜公園・女子的写真教室」
長良川おんぱく2013プログラム「写真家・澤田尚正と岐阜公園・女子的写真教室」

蒲:おんぱくの効果として、まちあるきの講師や案内人が育つ、募集型企画旅行体験コンテンツやオプショナルツアーになる体験が生まれる、などがあげられます。おんぱくやそこから生まれた着地型観光商品の販売代行による手数料ビジネスをしようとしても、単価が低く量が少ないので自立したビジネスにはなりにくい。プログラムによって売り方を変えながら育てるべきではないかと思っています。旅行会社の商品流通形態と相性のいいプログラムはどんどん商品化したいし、そのための連携を行いたいですね。

 蒲さんが商品として売り出せそうだと感じているプログラムの一つは、2012~2013年の「長良川流域・妖怪伝説と瓢ヶ岳(ふくべがたけ)の鬼退治バスツアー」。妖怪伝説が残る地をめぐり、最後に、1300年前に退治された鬼の首が今も安置されているという寺を訪ねる。

蒲:マニアックな内容でも、そういう趣味を持つ人であっという間に定員が埋まるプログラムもあるんです。その土地ごとにあるパワースポットや神社もプログラムに組み込める可能性があります。

 おんぱくの体験プログラムが大きな誘客につながった事例もある。
 2013年のプログラム「長良川サイダーの森を植えよう!」は、岐阜のご当地サイダー「長良川サイダー」に使う水が生まれる、長良川源流の森に植樹をするものだ。関東の大手旅行代理店から打診があり、ミュージシャンのファンクラブツアーとして、長良川温泉に泊まって長良川サイダーを飲み、翌日、長良川おんぱくプログラムと同様に植樹した。東名阪から合計でバス15台、約600人が参加したそうだ。

蒲:形に残り、社会貢献につながることをしたいというミュージシャンの希望をもとに探して見つけてくださったそうです。地元の受け入れ団体にかなり負担をかけてしまいましたが、社会貢献を意識したエコツアーのコーディネートという意味では共にいい経験になりました。

 このとき蒲さんは旅行代理店と現地との間に立ち、現地の団体との調整はもちろん、旅館での宿泊手配や物品購入なども手伝った。

蒲:長良川おんぱくのプログラムをベースにしていますが、ニーズに合わせてコーディネートし、つくりあげたものです。このように、顧客や都市部のマーケットに合わせて、地域が持つ資源や体験商品を売り込むということがDMOの仕事ではないかと考えています。

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