長良川おんぱく2014~流域再生への第一歩~
長良川おんぱくを観光に活用
岐阜グランドホテルの小田真康さんは長良川おんぱくについて、
「宿泊客を増やすためには、魅力的なイベントやオプショナルツアーが必要です。長良川おんぱくはその実験やテストマーケティングの場だと考えています。小回りの利く規模で、遊び心のあるプログラムを開催しています」
岐阜グランドホテルでは今年「フレンチシェフがお届けする『B級グルメフルコースディナー』で岐阜三昧」を開催。岐阜長良川温泉旅館協同組合の「長良川温泉 若女将会」でも二つのプログラムを実施した。これまで商品化されたプログラムもあるが、それだけを目指すわけではない。
「おんぱくはきっかけ作りです。生産者とネットワークができるなど、次の企画につながることもあります。他のプログラムもチェックして、ツアー化できないか考えています」
長良川おんぱくは開催の目的に観光振興を掲げてはいない。しかし地域の観光業界ではおんぱくを効果的に活用し、魅力アップをはかろうとしている。
一歩ずつ流域再生へ
振り返り研修の後、クロージングパーティーが開かれた。それぞれ交流を深める中、参加者にふるまう鮎を焼いていた蒲さんに話を伺った。
クロージングパーティーで鮎をふるまうプロデューサーの蒲勇介さん
―今年の長良川おんぱくを振り返っていかがですか。新しい試みもありましたが。
蒲:例えば「長良川清流白書をつくろう!」のプログラムでは、漁師、生物学の研究者らさまざまな立場の参加者が知恵を交換し、観光まちづくりにとどまらず長良川流域再生まで踏み込んで、課題を明確化できました。おんぱく全体でも、表面上の観光振興だけではなく、その背景にある信仰や、長良川のコアな部分にも触れてもらえたのではないかと思います。
―今後については。
蒲:多くの人に、長良川というものに当事者意識を持ってもらえるよう、おんぱくだけでなくさまざまな事業を通して働きかけていきたいですね。
以前の連載で、蒲さんは長良川おんぱく開催の目的として、次の二つをあげていた。
① さまざまな主体の連携やつながりをつくることで、まちづくりの「プラットフォーム」をつくる
② 「長良川ブランド」を構築・発信し、まちのアイデンティティを共有する
この2点と今年の新しい試み「流域再生」の観点から、長良川おんぱく2014を振り返る。まず②について、オープニングイベント前には特に積極的な広報が行われ、ギネス記録も大きなニュースとなった。これは長良川ブランド発信とも言え、地域の人が長良川や鮎を意識することにつながったと考えられる。また、パートナーには研修で長良川に関わる要素を問いかけ、意識させている。
①についても、長良川みちくさゼミ受講生や、長良川ツアーの平工さんなど新たなパートナー、新たな地域活動の主体が誕生した。研修ではパートナーのつながりも生まれていた。長良川流域のまちづくりのプラットフォームが、より強力になっている。
この中で「流域再生」がさらに強い共通認識となれば、この課題が地域の人にも届きやすくなるはずだ。
長良川おんぱくは4年目を終えた。長良川流域には観光面でも、地域の人にとってのまちづくりも、解決すべき課題がいくつもある。しかし今年の長良川おんぱくを振り返ると、活動を積み重ねることで一歩ずつ解決に向かっていることが、確かに感じられる。
今年のおんぱくを振り返り、クロージングパーティーで乾杯
(取材・文/青木 遥)
長良川おんぱくで流域再生 第1回 おんぱくは一日にして成らず
長良川おんぱくで流域再生 第2回 まちづくりのプラットフォームをつくり、長良川ブランドを構築・発信する
長良川おんぱくで流域再生 第3回 まちづくりが観光を磨く
スポンサードリンク