心でつながる、帰ってきたくなる宿 ゲストハウスPongyi[ポンギー](石川県金沢市)

2015.03.02石川県

地域に、アジアに生きるゲストハウス

七夕には短冊を入れた竹筒を用水に流して拾うイベントを行った
七夕には短冊を入れた竹筒を用水に流して拾うイベントを行った

流しそうめんのイベント
流しそうめんのイベント

 ポンギーがある金沢市六枚町は、金沢駅から徒歩5分程度だが、古くからの住宅が多く残る静かな地区だ。

横川:
家に帰ってきたら門の前に野菜が置いてあったり、家の前のお花が変わっていて、近所の方が「お茶で使うお花が残ったから入れておいたわよ」と声をかけてくれたりします。本当に温かいまちです。

 ポンギーではこの地区でのつながりを大切にしている。デッキで横笛や能を演じるイベントでは、地区の住民がござを敷いて見物する。七夕には竹筒の中に短冊を入れて用水に流し、ポンギーの前で拾い上げるイベントも行った。住民も楽しめ、ゲストも住民との交流という貴重な体験を楽しんでいるようだ。

 

ゲストを見送る横川さん
ゲストを見送る横川さん

 最後に横川さんに、今後やってみたいことをうかがった。

横川:まだ具体的な話はありませんが、同じような志をもつ宿や、人や支援について考えようとする人が集まれる宿ができるといいなと思います。
 また、アジアの孤児院の敷地の中で、自立支援を目的に、子どもたちが実際に宿を運営しながら掃除、礼儀、パソコン、日本語などを学べる研修所のようなものができたらいいですね。

 ポンギーの温かさはポンギーならではのものだ。ゲストが気持ちのよい滞在ができたのか、行き届かなかった点はないか、スタッフ同士が常にコミュニケーションをとりながら、誰かのせいにするのではなく何度も自分を見つめ直すことから、その温かさが生まれている。「自分を大切にし、他も尊重する」。
 そうした姿勢と実践の継続は、横川さんのこれまでの経験から生まれたものではないかと感じる。2人の女性スタッフにもそれが伝えられ、建物中を飾らない温かな空気で満たし、ゲストを安心感で包む。ゲストハウスが全国に広がる中で、ポンギーがゲストを惹きつけ続けるのは、何よりも心の豊かさを感じる、また帰ってきたくなるようなこの空気があるからなのだろう。

(取材・文/青木 遥)

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