北九州市漫画ミュージアムのサブカルチャーは新鮮
地区活性の起爆剤として期待されるミュージアム
北九州市は、小倉駅の北口地区を国際会議場などのコンベンション施設を核とした業務、ホテルが複合する新都心を目指すとしています。しかしいま一つ人の流れは拡大せず、その象徴が新幹線口のラフォーレ原宿小倉であったといえます。平成5年にオープンするも平成19年に閉店。その後空きビル同然の状態でした。
本年(平成24年)8月に「北九州市漫画ミュージアム」がオープンされたのはまさにこのビルです。市は「あるあるCity」と名付けられたこのビルの空室を埋めるだけでなく、ミュージアムをまさに北口地区全体の活性化の起爆剤にしたいと期待を込めているようです。
北九州市は“銀河鉄道999”の松本零士、“ハートカクテル”のわたせせいぞう、“キャッツ♥アイ”の北条司ら著名な漫画家を輩出しています。
彼らを観光資源として、漫画文化の振興とそれをテーマにしたまちの魅力づくりを図るというのがこの総合博物館の目的です。市の単独での運営であり、行政の意気込みが伝わるというものです。
オープンにあわせ、駅からミュージアムへの通路には“銀河鉄道999”のメーテルやキャップテンハーロックのモニュメントが作られました。名誉館長となった松本零士はこの前で、「このキャラクターたちはすべて小倉で生まれたもの。北九州・小倉で体験したすべてが、私の作品に生きています」と郷土への思いを込め挨拶したそうです。
年配層にも喜びを与える若者の世界
それだけに先般、このミュージアムが小倉の街の新しい軸となりうるものかと東京から足を運んでみました。いや驚きました。若者であふれていたのです。もっと驚いたのは、そこに陳列されていたフィギュアや初音ミクなどのポスターの多様さであり、眩しいほどのカードや漫画の群れでした。
そのカラフルでシュールな空間は衝撃的でした。子どもたちは熱中していました。若い親も共に楽しんでいました。この熱気がいつまでも続いてほしいものと、市の担当者ならずともそう願う気持ちになったものです。
そしてしばらくしてもう一つ感動したことに気づかされました。ほかでもありません。この空間では、サブカルチャーに嵌る昨今の若者の世界を一挙に、しかもつぶさに垣間見ることができるということです。
われわれ団塊世代ではなかなか遭遇することのない異次元の世界を、若者(子ども)の今日的生態とともに発見する楽しさ。サブカルチャーのミュージアムは、年配層にももう一つの喜びを与える、思いもよらぬ副作用を持つものと改めて感じ入ったものでした。
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