訪問する側のホスピタリティ
ホスピタリティ教育への取り組み
産官学連携による観光資源活用・再発見の取り組みが各地で実践されており、観光立国日本を実現する契機となっている現在、大学単位では学生の「主体的学び」という視点から実習・研修が盛んに行われている。
本学観光学部は開設から日が浅く、今年度に4学年が揃う完成年度を迎えたばかりだが、学内での履修のほかに学外実習・研修に力を入れており、教員が企画し、案内する国内外プログラムを10種余り用意している。
国内研修のうち、3月に旭川市旭山動物園、市役所、北の嵐山、本学旭川キャンパスを目的地とするプログラムでは、学生は冬だからこその面白さを体感すると同時に、研修期間では見きれない観光資源に後ろ髪を引かれながら帰京している。そして中には一年後の同時期に家族旅行をするケースもみられる。
研修引率者として事前に行っているのが「訪問時のマナー・挨拶・振舞い」指導である。学外教育を目的とする限り、訪れる側が訪問先に対して元気な挨拶と笑顔で接することで快く迎えていただきたいし、「聴く・質問する」態度で学ぶ意欲を直に伝えたいからである。
訪問者の視点で学ぶ
旭川で冬に研修を行うことにしたのは、冬期の実習・研修がもう一つ必要だというシンプルな理由によっている。設定当初は夏がよかったかもしれない等と考えたが、実は旭川冬まつりやバーサーロペット・ジャパン開催時期をやや外すだけで、想像以上に冬の恩恵を受けることができる。
まず旭山動物園では冬の動物達がいきいきと暮らす様子を間近に見ることができ、北の嵐山では雪を踏みしめて歩くことが新鮮で楽しく、さらには航空運賃・宿泊費用を抑えることができて、その分を美味しい夕食やお土産購入にあてることが可能である。そして何よりも学生達が「冬の魅力と課題を探ろう!」というテーマに懸命に取り組み、出迎えてくださる方々との交流を楽しむことができる。
研修期間に旭山動物園、経済観光部、北の嵐山観光連絡協議会の方々から直接話を伺い、「知る歓び」を経験した学生達の興味と好奇心が認識・納得・満足へと変わる様を見ることは引率者としての醍醐味といえる。彼らがそのように変われるのは旭川の魅力を十二分に伝えてくださる地元の方々の熱意のこもった講話のお陰であり、まさに「観光資源の要素として“人”の割合が大半を占める」と確信させていただく場面でもある。
観光地としての魅力と課題を語る方々の地元に対する誇りやそこに暮らすことへの思いは現地に赴くからこそ感じ取れるものであり、これらの実体験は学生達自らの言葉で日本を語る自信に繋がっていくものと確信している。
産官学連携プログラムや大学での主体的実習・研修が、これからの日本を担う若者達の学びの場であるとともに「日本を知り、誇りに思うこころ」を育てる場となるよう、今後も観光地の方々と協働でプログラム作りをしていきたいと考えている。
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