シティプロモーションと観光振興 地域へのプライドが観光を変える

河井孝仁東海大学文学部広報メディア学科教授

2014.09.16栃木県静岡県

「まちへの本気(マジ)度」が観光にも重要

 観光には多様な側面があり、大きな変化のもとにあると考える。すべてが変わってしまうわけではないが、より充実した観光体験を提供するために必要なことが、次々に提起されている。
 スマートフォンやタブレットを利用した双方向性のある情報提供。観光客自らが新たな情報発信者となることの一般化。評判を基礎にした観光地評価の仕組み。外国人観光客の増加に対応するための情報インフラの整備。

 こうした変化の一つに、着地型観光への期待がある。着地型観光とは、観光客を受け入れる地域側が自らの魅力を提起し、可能な限り地域の人々とのふれあい機会を提供し、観光客に、地域外からは見えにくいさまざまな体験価値や発見の機会を与えるものと考えることができる。

 シティプロモーションとは定住増加や交流促進を第一義に目的とするものではないと考えている。シティプロモーションにとって、定住増加や交流促進はプラスアルファであり、目指すべきは、地域に関わる人々の参画意欲を高めることにある。言うなれば「まちに本気(マジ)になる人々」をどれだけ増やすことができるのか、個々の人々の「まちへの本気(マジ)度」をどれだけ高めることができるのかが、重要な成果指標となる。

 では、観光振興とシティプロモーションは無関係なのか。否である。その鍵の一つが、既に述べた着地型観光にある。いきいきと自らの地域を語り、プライドを持って、多様な魅力を述べる人々と出会えるまち。あるいは、訪れた者をどんよりと眺め、「何もないところです」と苦笑いをする人々に会わなければならないまち。訪問客にとって、訪れたい場所はどちらであろうか。

 このことは先に述べた、デジタル機器を利用した双方向情報提供、評判による評価、観光客の情報受発信を容易にするインフラとも関わる。観光客の疑問や感想に的確に答える人々がいるまちなのか。不可避的に生まれた観光客の失望への十分な補完が、地域の人々によって行えるまちなのか。行政や観光協会という組織によらない、地域に関わる個人発のWebやSNSを用いた情報受発信の集積があるまちなのか。

 シティプロモーションは観光振興のために行われるわけではない。しかし、観光振興にとって決定的に重要な要素となる。

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