長良川おんぱくで流域再生 第1回 おんぱくは一日にして成らず
アイデアはある。考えながら、突き進め。
2010年9月、蒲さんはジャパン・オンパクが熱海で開いた研修に参加する。
蒲:町人ゼミのちらしを見たジャパン・オンパクの鶴田さんが『もうできているね』と言ってくれました。これでいいのなら、他にいくらでもアイデアが浮かぶし、岐阜でもやれるなと思いました。
ORGANはそれまでの活動で岐阜の多くの地域資源を知っていた。またデザイナーでもある蒲さんは、質の高いガイドブックが作れると感じたという。
翌年の開催に向け、さっそく合意形成や資金調達などの準備をスタートした。岐阜県に相談すると、県民の提案を受け付けている事業への応募を勧められた。
一方で、岐阜長良川温泉旅館協同組合にも相談に行った。長良川温泉は長良川沿いの7軒の旅館やホテルからなる温泉地で、2010年度の宿泊者数は年間約25万人。
蒲:最初は、組合にとって良いものなのか疑う部分もあったようです。組合にいる仲のいい人から始めて、徐々に理解者を増やしました。
協議を進めるうち、組合が主体となって県から事業を受託し、ORGANがその支店として実施する組織形態をとることとなった。
初年度の長良川おんぱくガイドブック
蒲:旅館組合の力を借りてその名前で受託するが実際は僕らが進める、という形にしてもらっている以上、成果をあげなければなりません。初年度がいちばん、本当に必死に頑張りました。
さまざまな主体の合意形成、プログラムづくり、ガイドブック作成、予約システム開発、メディア露出、集客。多岐にわたる準備を同時に進めなければならず、一つ一つが手探りの状態だったという。
蒲:地域の既存団体からの信頼がまだない中でダイナミックなことをしなければならなかったので、合意形成は大変でした。あちこちで細かいオーダーが出るのですが、おんぱくでできることなのか僕らにもわかりませんでした。それをさばきながら、質の高いプログラムを100個つくらなければならない。アイデアはたくさんあったけれど、一人で約20のプログラムを担当して、パートナーとやりとりしながら作り上げるのは結構大変でした。ガイドブック作成も、原稿作成の説明方法や、大量のプログラム情報の編集などのノウハウがなく、何日も徹夜してつくりました。
初年度は2011年10月1日から30日までの1カ月間開催した。定員充足率は約8割。155件のメディア露出による約1億8,000万円の広報効果をもたらした。さらに長良川温泉が「にっぽんの温泉100選」(観光経済新聞社)で、前年の圏外から一気に56位にランクインするなど、目に見える成果をあげることができた。
初年度からの人気プログラム、岐阜町の「遊宴文化」を体験「長良川船遊び」
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