長良川おんぱくで流域再生 第1回 おんぱくは一日にして成らず
国内外で広がる「オンパク」
長良川おんぱくプログラム「長良鵜飼屋猫道散策」
「オンパク」をご存じだろうか。
それは2001年、大分県別府市で生まれた。別府は八つの温泉郷からなる大温泉地だが、1997年に250万人以上あった宿泊数は、2002年には190万人に落ち込んでいた。そんな中、ホテル経営者の鶴田浩一郎氏(現一般社団法人ジャパン・オンパク代表理事)を中心に住民が参加するまちあるきが始まり、次第に観光客も参加するようになった。ほかにもさまざまなグループが独自の活動を始めた。これらを支援し、持続的な地域再生を実現する仕掛けとして誕生したのが「ハットウ・オンパク」(別府八湯温泉泊覧会)だ。
オンパクは、「プログラム」と呼ばれる小規模の体験交流型イベントを多く集め、短期間に開催するものだ。プログラムを準備、提供するのは地域の人々で「パートナー」と呼ばれる。パートナーはプログラムを通じて、自分が実現させたい、地域の資源を使った新しい商品やサービスが世の中に受け入れられるか試すことができる。オンパク事務局は、パートナーが行うのは難しい集客やプロモーション、参加者の管理などを行いアドバイスもする。
今日ではその方法や戦略が、経済産業省の支援を受けて「オンパク手法」としてモデル化され、着地型旅行の一つとなっている。また2010年設立の一般社団法人ジャパン・オンパクでは、組織の作り方、プログラムの企画から運営、ガイドブック作成、ITを使った予約システム、事業評価などノウハウを教えている。取り組みを行う地域は、2013年度末で国内41地域、国外3地域にまで増えた。
岐阜市を中心に長良川流域で行われている「長良川おんぱく」(長良川温泉泊覧会)もその一つだ。2011年に始まり今年で4回目を迎える。初年度から高い定員充足率、売り上げ、広報効果などをあげており、県内外で長良川おんぱくに学んだ多くの取り組みが始まっている。この長良川おんぱくはどのように始まったのだろうか。
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