コンテンツツーリズムの成否の分かれ目2  持続のカギは地域でのコンテンツ創出

増淵敏之法政大学大学院政策創造研究科教授

2015.01.19

商工会主体で生まれた観光マンガ『札幌乙女ごはん。』

 さて筆者がここ数年、関わってきた事例に札幌の『札幌乙女ごはん。』(図1)や南魚沼の『美女旅』がある。あくまで企画立案、後者は助言での関与であるが、それでも当該地域以外での認知も高まりつつある。

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(図1)『札幌乙女ごはん。』(札幌商工会議所「【マンタビ】~札幌まんがWEB~」(http://mantabi.net/)
©ayaka matsumoto 2015

 『札幌乙女ごはん。』は札幌商工会議所を軸に現地の出版社「エアーダイブ」との共同事業で、観光マンガを作るという試みだ。販売価格は100円(税抜)、現在、Vol.4までが発行されており、そのクオリティが評価されている。既存のコンテンツを活用するのでなく、新たに独自のコンテンツを開発するという試みだ。

 JALパックやJTBパブリシングの支援もあって、旅行商品化、電子出版化の動きも始まっていることから、さまざまな方面から注目を集めている。特に札幌商工会議所がこのような事業の主体になっていることや、札幌在住のマンガ家が描いている点など新奇性に溢れた施策展開だったといえよう。おそらく他の地域でもこのような試みが増えていくに違いない。

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