観光は誰でもできる 「彼」を知り、「己」を知れば
末長い成功を収めるには
観光の市場は、目下大変厳しい。しかし、「21世紀は観光の世紀」と言われるように、世界的に見ると今後着実に伸びていくと予測されている。
わが国の国民の年間観光旅行泊数は、フランス、イギリス、アメリカ、ドイツに比べ約4分の1から3分の1に過ぎず、その分伸び代は大きい。
無論、そのためには有給休暇の完全消化を含め、旅行に行きやすい社会的なインフラが整備されることが必要で、この夏の節電が一つのきっかけになることが期待されている。
加えて、観光地のハード・ソフトが世界標準をクリアしていることも大事だ。
日本の総人口が減少し、産業構造が変化していく中で、観光に期待するところが増えており、各地でさまざまな取り組みが起こっている。観光は誰でも始めることは可能だが、末長く成功を収めるには、『孫子』斉の孫武著にあるように、「彼」を知り、「己」を知ることが肝要だ。
「彼」とは、①社会・経済の動き、②誘致圏における需要動向、③競合圏・ライバルの動き、である。
①については、観光業は従来から人気・景気・天気の「三気商売」といわれ、昨今はこれに病気、狂気が加わり、変動が更に大きな「五気商売」になった。この「気」に対して的確に対応することに加え、変動に耐えられる経営が欠かせない。
②については、誘致圏をどこにし、どのような層をターゲットにするかの設定だ。堅実に地元需要を狙うことも一策だし、日本全国や世界を相手に、当該地域ならでは魅力を創り出し、一流処を狙う心意気もあって良い。
ただし、その時は競合圏・ライバルは世界に拡がり、彼らの上質さ・年々磨きがかかっている重厚な魅力を知らなければ、井の中の蛙で終わってしまう。
観光・ふるさと・伴侶や仲間に惚れ(三惚れ)」て、第一歩を踏み出す
一方、「己」とは、①観光に取り組む覚悟、②足下・行動圏にある観光的魅力、③人的ネットワーク、である。
①に関しては、「デモ・シカ」は今も死後にはなっていない。なぜ観光をやりたいのか。観光が好きであることに加え、お客さんにとって、地域にとって大きな喜び・意義のある生業であることを、しっかり真ん中に据えて取り組みたい。
②については、2週遅れ、3週遅れの平凡な中山地域の風景も、そこに投入されたコンクリートに反比例して魅力が高いことを歴史が証明している。高齢者の知恵も活用次第では大きな魅力になる。
そして今は、周囲の町歩き・野歩き・山歩き・川野辺歩き等が楽しめることも滞在の必須条件になってきている。そうした観点で、合併のメリットを見いだすことも一策だろう。観光地から観光地域への拡充において、生き生きと暮らし、働いている人の参加・協力なしには、本当の魅力になってこない。これからは、住んでいる人の「オーラ」や「輪」が勝負なのである。
いかなる商売でも、お客さん以上の知識や造詣が求められるが、ふるさとの歴史や魅力に関する造詣や思いは、誰にも負けないはずだ。
「観光に惚れ・ふるさとに惚れ・伴侶や仲間に惚れ(三惚れ)」て、まずは「強み」を活かし、「百戦あやうからず」となるような魅力的なふるさとづくり=魅力的な観光地域づくりに向けて第一歩を踏み出すことである。
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