観光の流れが大きく変わり始めている

金丸弘美食環境ジャーナリスト

2012.02.16

 和歌山県田辺市の山間地。木造の小学校の廃校がレストランと宿泊施設と体験工房になっている秋津野ガルデンには年間16万人の人がやってくる。

 長崎県大村市の長崎空港から15分ほどの直売所「おおむら夢ファームシュシュ」には年間50万人が集まる。地域の観光農園、農家の宿泊と連携して、新しい観光地となった。
 福岡県遠賀郡の海のそば、防風林に囲まれたグラノ24Kブドウの樹は、庭に200種類の花を植え、レストラン、カフェ、コテージがあり、結婚式があげられる。年間30万人がやってくる。
 三重県伊賀市の山間地にある体験農園「モクモク手づくりファーム」には、年間50万人が訪れる。

 いずれも共通しているのは、地元の人たちが地域の食材を使って料理や加工品を作り、レストランの運営をしていることだ。そして手づくりのものを集めていること。ケーキづくりや地域の散策などの体験コーナーがあり、参加型で親子で楽しめる場である。

 観光の流れが大きく変わり始めている。

 熱海を筆頭にかつて観光地と言われ、ずらりと並んだお土産屋、大型宴会場付きの宿泊施設。出てくる料理は品数がやたらとある。海なのにステーキが出たり、山なのにマグロが出てきたり。お土産品は、業者からの仕入れ品が大半。娯楽はゲームセンターにカラオケ。そんなところの多くは客数が激減をしている。

 一方、人を集めているところは、かつて観光地でもなかったところ。地域の食材を活かして、自分たちでオリジナル商品を開発。体験教室も地域農産物や景観や四季を活かし、それが学習や経験につながるようなプログラムを独自に作りあげ親子で楽しめる。

 長崎のシュシュ、福岡のブドウの樹、三重のモクモクは結婚式も行っている。農村風景やブドウの樹の下で挙式をするという、これまでのホテルなどとはまったく違った展開で若い人を引き付けている。

 徹底したものづくりが、集客のかなめになっている。そのためには、人材教育の必要があり、料理と加工を積極的に展開して、自分たちの方針にかなったものしか置かないという徹底ぶりである。

 そして観光には景観が大切。デザイン性のないかつての無節操にホテルや旅館が建つ観光地よりも、自然や地域との統一性のある調和した風景のあるところに人は流れ始めている。

著者プロフィール

金丸弘美

金丸弘美食環境ジャーナリスト

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