平成の大合併における観光地の変化

井上晶子立教大学観光研究所客員研究員・杏林大學非常勤講師

2012.06.16

 地域の自立を目指す合併が、アメとムチによる国主導の下になされたとも評されており、地域の暮らしを担う住民の意思調整が十分なされず、明確な将来像を描けないまま進められた場所も少なくないことは、合併後の住民の主体性のあり方につながる大きな課題を内包する。

 例え、自治体の境界線が変わっても、人々の暮らしによって積み上げられた土地の歴史は、今後もその地の暮らしの中に生き続け、また新たに創られていくものであろう。地域の暮らしを活かすことでの「観光の持つ力」は、その地の人たちの誇りと自信を伴う内発的な力によって産み出され、人と人のつながりが大きな社会関係資本となることで継続性を持つのではないだろうか。

 10年が経過し、合併が各地域に与えた影響を検証する時期を迎えているが、その際、人々が作り出す地域のありようと密接に関連する「観光」を機軸にすることで、合併の意義を明確にとらえ得るのではないかと考える。

著者プロフィール

井上晶子

井上晶子立教大学観光研究所客員研究員・杏林大學非常勤講師

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