メディアを通して旅の楽しさを伝える
もともと旅が好きだった。小学生の頃、図書館に行くと、日本各地やヨーロッパやアジアなど世界各地のことが書かれた本を開いて、自然や街の風景などの写真を見ながら、「へー、こんなところに、こんな暮らしがあるんだ」など、いろいろなことを思った。
高校2年生のとき、NHKテレビの「十代とともに」というトーク番組に出演する機会があった。その時のテーマは、長男。ゲスト出演者は斎藤茂吉の長男である斎藤茂太さんだった。その後10年ほどして雑誌に載った旅について書いたぼくの原稿を読んでいただくようになり、日本旅行作家協会に入会したのも、会長だった斎藤茂太さんの勧めによるものだった。
その後、旅行作家としての活動を続けながら、短大で地理や地誌など旅や観光関連の授業を担当、「観光」の重要性についても、若者たちに熱く語ってきた。平成22年の4月からは、大学の観光文化学科で学科長として、旗振りをすることになった。
平成24年3月まで続いたNHKラジオ第1放送の金曜旅倶楽部「旅に出ようよ」という番組に、旅のプレゼンターとして3年間レギュラーし、国内の旅の楽しさをラジオを通して伝えてきた。日本国内を対象に、実際に旅をして、そこで見たもの、感じたことをラジオでそのままに話し、その土地の魅力、産物、見所などを紹介するこの番組のために、カメラと取材ノート、それに、小型の録音機を持って、一人、国内各地への旅に出た。
街を歩き、取材して、写真を撮り、その土地をイメージできるような、その土地でしか得られないような、そんな音を録音し、いろいろな人の話も聞いた。取材の旅から戻って、放送日の1カ月前に、番組のタイトル、簡単な放送内容、3つのテーマ、電話先、交通、問合せ先などを書いた提案書を担当のディレクターに送った。その後、メールでやり取りをしながら、放送日の1週間前になると、2人で協力して番組の進行表を作成していった。
放送当日は、ぶっつけ本番の全国生放送。限られた時間内に話す内容も豊富で楽しみながら番組を続けることができた。岡山県高梁市、栃木県茂木町、石川県小松市、新潟県津南町、神奈川県三浦市、埼玉県羽生市、山形県川西町、群馬県館林市、東京都墨田区など、取材の旅に出て街を歩くのは楽しかった。全国各地のリスナーからの反応も、あった。
テレビやラジオなどの放送メディアを通して旅の楽しさを伝えていくことの意義、そして、その影響力の大きさを実感する貴重な体験だった。
■著者プロフィール
スポンサードリンク