スマホゲーム「Ingress」に注目した岩手県 ゲームと地域資源のコラボで誘客を仕掛ける
県内で広がりを見せる
―2つのイベントから感じたIngressの力は何ですか?
保:どちらのイベントも、予想以上に人が集まってくれたことを見ても、Ingressで人を呼ぶことはできるのかと聞かれれば、「できる」と言えるのではないでしょうか。イベントの参加者に盛岡の歴史や文化の魅力を楽しく知ってもらえる企画にしたことや、地域の人を巻き込んで実施したことが成功につながったのではないかと思います。
次のイベント開催をという声もありましたが、盛岡には約800のポータルがあると言われており、環境としてはもう十分だと思います。今後は盛岡以外でも展開できるかどうかがテーマになると思います。
県内でこうした活用が広がればいいなと思います。岩手県には花巻市出身の宮沢賢治をはじめ、世界文化遺産の「平泉」、河童の伝説が残る遠野市など、面白い場所がたくさんあります。東日本大震災で被災した沿岸部は復興が本格化してきています。そうした地域とIngressが結びつけばさらに盛り上がるのではないでしょうか。
今年の1月末には陸前高田市で「たかたIngress研究会」が立ち上がりました。県内の別の地域でも取り組みたいという話があり、この先もっと増えるかもしれないですね。さまざまな地域がIngressを活用した情報発信を進めることで、岩手に行ってみたいと思う人が増えてくれたらうれしいです。
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こうした研究会の活動に特別な予算はない。ホームページは県のページ、イベントは県の関連施設を活用し、参加者に配ったガイドブックなどは事務費からの支出という。研究会を立ち上げ、情報を発信しながらイベントの詳細を考えるスピーディな活動だからこそ、先駆者として注目を集め、また地域と連携し、地元の魅力を楽しめるイベントは県内外から多くの人を集めたのだろう。研究会の活動は、これから取り組みたい人たちの参考になるのではないだろうか。
(インタビュー・文/塩田恵理子)
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